「やっぱり…行くの?」

栗色の髪を二つにくくり、手にはハロ、肩にトリィを乗せた少女が、そっと尋ねる。

「うん…決めたことだから。」

金髪金眼で、ザフトの赤服に身を包んだ少年が、うつむき加減で答えた。

「そっ…か…。」 「俺は…」

「?」 「俺は、やっぱり父さんと母さんを苦しめてた戦争なんて嫌だ。本当は、軍にだって入りたくない。だけど、何もしないで立ち止まってたら、もっと何もできない。全て失うかもしれない。俺はそうやって、何もしないでただ黙って見ているなんて…できない。お前の父さんも、よく言ってたろ?」

彼女は、ただ彼を見つめることしかできなかった。彼は続ける。

「大丈夫だよ。今は冷戦状態。オーブも地球軍もザフトも。本格的な戦争になっているわけじゃない。あんまり、帰って来れなくなるけど…。」

 

――わかってた。いつかはこんな日が来るんだって…いつまでも遊べてた頃とは違うんだって…「永遠」なんて、どこにもない…

――笑顔で、見送ろう。それが今、私にできること―…。

 

「……うん、そうだね。分かった。いってらっしゃい。」

「…あんまり、キラさんとラクスさん困らすなよ。」

彼は、困ったような笑顔で、そう言った。

「はいはい、わかってます。」

「じゃ、いってくる。」 「ん。」

 

―ばい、ばい。

 

「彼、やっぱり行っちゃったんだ。」

突然、背後から声がした。

「お父さん?!―やっぱりって?」

「彼の、……アスランの子供なんだなぁって、思ってさ。」

優しい笑顔が向けられる。

「――***は、バカだよ…。わざわざこんな日に、軍に入らなくても…」

「こんな日だからこそ、じゃないかな。彼は決めてたよ。三年前の…この日から…。」

「でもっ…!」

私の言葉は、雨とともにむなしく散っていった。

 

 

「雨…きつくなってきたね。もう家に入ろう?ラクスがもうすぐ呼びにくるから。」

彼はそう言いながら、空を見上げた。少女も、つられてどんよりとした雲を見つめる。

 

そういえば、あの日もこんな風に雨の降る日だったな…。

――ぅわぁぁぁぁぁ!父さんっ…母さんっ…!!何でっ…!

――アスラン!カガリさん!!

――ぇっ……どう…して……?おじさん…?おばさん…?

――カガリ!アスランっ?!何が……。

 

雨は止まることなく、ただ、そこに降っていた。

まるで永遠のように。

 

―帰って…くるよね?

私は信じよう。この先を。未来を。

お父さんとお母さんが守ってくれたこの世界を―。

 

「キラ―…***―…そろそろ中に入らないと雨にぬれてしまいますわよぉっ……。」

 

遠くで、私を呼ぶ声が聞こえた。




あけましておめでとうございます!
みなさん今年も苺壱絵をよろしくお願いしますね〜☆☆
さて2006年…今年はどうなることやら。。

実はこの主人公、名前あったりします。
続きが書けたら名前だそうかな。。