私がプラントへ行こうと決めたのは。
他の誰でもない、貴方がいてくれたから。
二年前に貴方が言ってくれた言葉、まだ覚えてるよ。
【スパイ大作戦】
バルトフェルド隊長が何か渡してくる。
制服―ザフトの、軍服だった。
「後はまかせたぞ、ダコスタ君。」
「はい、隊長!」
バルトフェルド隊長が去ってから、ラクスはぽそりとつぶやいた。
「あの・・・服・・・」
「すみません、ラクス様。そちらの軍服しか、ご用意出来ませんでした。」
「目立ちませんか?」
「まぁザフトレッドですしね、それなりには。しかし大丈夫ですよ。ミネルバは艦に相当の損傷があり、搭乗しているクルーだけでは手に負えない状態と聞いています。その忙しい時に紛れ込んでも、誰も気にもとめませんよ。それに最近、別のザフト艦からミネルバへ転属になった者も多くいて収集がついていない、という情報も入ってますしね。」
「そうですか・・・」
心配だ。
彼の言葉を信用していないわけではない。
けれど、スパイというからにはそれなりのリスクがある。
はたしてミネルバはそこまで管理の行き届いてない艦なのであろうか。
今、それを目の前にしてラクスは思う。
目の前、といっても遙か遠くにミネルバが港に定住しているのが見えるだけで、こちらの姿はよほど高性能のスコープかなにかを使ってやっと見える程度だろう。
ラクスはダコスタに聞こえないように小さくため息をついた。
無事プラントに着いて、ラクスが初めにしたことは、ミネルバの乗員名簿を見ることだった。
艦に乗り込む為には、乗員の顔の大体の把握をしておかなければならない。
その時目にしたものは、ラクスのよく知る顔と名前だった。
―アスラン・ザラ。
先のヤキン・デューエ戦では、カガリ・ユラ・アスハ率いるクサナギと共闘、エターナル・AAを始めとするクライン派とともに戦争の停止へと導いた、今やフリーダム―キラと同様、伝説のパイロットと言われる一人だ。
和平交渉が成立し、アスランの乗っていたジャスティスをカガリに託すと聞いて、機体設計の関係者であったラクスはキラとともにオーブへ降り立った時に、アスランと初めて顔を合わした。
親友だと、キラは言っていた。
なのに、なぜ―・・・
てっきり彼は、オーブでカガリのもとで暮らしているのだと思っていた。
いや、実際彼らは共にいたのだ。訪問する度に何度も、カガリの側で黙って立っている彼を見かけた。
『世界がまだこんな状態だし。仕方ないさ。今は護衛としてアスラ―いや、アレックスには側にいておいてもらわないと。』
いつだったか、カガリはそう言っていた。
それが、どうして今はザフトになんか・・・・
いくら考えても答えが出るはずもなく、ラクスはただ黙って紙切れを見つめていた。
「ラクス様、このカードキーを使えば、誰でもミネルバに入れますから。」
着替え終わり、手渡されたカードにはなぜか重みを感じた。
「僕はここまでしかお手伝いできません。すみません。」
「いいえ。本当に、ありがとうございました。わたくしも、すぐに後を追いますわ。」
「ラクス様・・・」
「貴方もお気を付けて。」
くるりと赤服をなびかせて、さっそうとラクスは歩いていった。
彼女の向かうべき場所へと、風は吹いた。
やっと更新です;;
途中まで書けて続きが・・・って状態になってたのでorz
早くシンとラクスの絡み出したいなぁ
秋の楽しみであったりします。
この二人、一体どんな絡みになるんだか・・・!!
全く想像できません(苦笑
(あぁ、でもすでに【おさななじみ】で絡んでるよね、この二人。。)
とにかくこの作品は頑張って長ーく続けていこうと思っていますので!!
どうか最後までお付き合い下さいねw(ぇ
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